やっと全話終了です…!



「DNA」、これにて完結となります。お疲れ様でした。
この連載は「二人のラクス」にのみ焦点を当てた話なので、MSなどは一切出ていません。
ちらりと出してみようかなあと思いましたが、資料など揃えたり色々しなければならない苦労が目に見えて
いたのであっさり断念して、自分のまだ得意分野の方面に持ち込みました。
連載中にミーアの名前があっさり割れてしまったり、13話のように不穏な行動が起きていましたが、
それになんとか繋げていける様に半端なところであえて終わらせています。
時列的には、まだ「運命」が始まる前のお話です。(分かりにくいですが)

今回、歌姫ラクスがとんでもない設定となっております。つまりは紛い物と。
前々から呟いていた酷い設定だという、意味そのままです。(すみませんすみません)



全ては私のラクスへの不信感から、連載は始まりました。

前作「SEED」からずっと大好きなラクスは正直不気味でした。
16歳の少女が、死体の傍を平然と歩き(アスランに銃を向けられた回)、戦艦をのっとり、副艦長として冷静に皆を諌め、平和の歌で人々を誘う。
同じ16歳として描かれたカガリが、本来ならば普通の16歳だと思います。
落ち着きすぎた16歳には、どこか落とし穴があるんじゃないか。
いくら父親が重役で、平和を望んでいて、娘にもいくらか教え伝えていたとしても、
裕福で、ほんわかとしたお嬢様が戦場であのように振舞えるのでしょうか。

こんな16歳がいる訳ないだろうと自分の中で理由付けした結果が、この連載の設定でした。

しかし、いざあとがきとなるといいたいことがたくさんあったはずなのに、全て忘れてしまうのはなんというか(笑)


蛇足ですが、本文中に詰め込みきれなかったのでこちらで補完を。


30年前から内密にジョージ・グレンの構想ノートが話題となり、
すぐれた人間が作り出せたのだから「運命」すらも具現化できるのではないか、ということで
研究者たちが集まり、実験は始まりました。
(もちろん優れたコーディネーターを作り出すための実験もかねていることになります)

・まずは一つは正義。
どんな苦しい時代でも必ず終わる時がきます。それは当然であり必然的な存在なので、
ラクスはその具現として生まれました。

・もう一つは悪か正義か分からない、サイコロそのものの不確定な運命。
長く平和な世が続くのは幾度かある節目でサイコロが正義を差したから。
平和が終わったのはサイコロが悪を差したから。


またこの思想は、ノアの箱舟のできそこないみたいなもので、コーディネーターもまた 殲滅する可能性があります。それも分かっておきながら神様気取りでこんなことしようとしたわけです。

この二つの考えで二人は創造されました。
過去保存されていたよりすぐりの精子や受精卵を実験しては失敗し、実験してはと密かに繰り返されていました。ですから、親は誰だかよく分かりません。
時間も遅らせたり早めたり調整をしているので、本当は18歳でもありません。
「ラクス」は初めて計算され尽くした理想どおりの人の形を為した、成功体です。
受精卵を人的に分割し、思惑通りの人間を生み出すのは困難であったみたいです。
そうでないものは生まれても全て処分されていました。
(この辺りはキラと経緯が同じなので、ミーアはキラを微妙に同胞呼ばわりしていたのです)

ラクスとミーアは8歳まで人工子宮の中で教育を受けています。
それぞれの役割にふさわしい、幸せな記憶と、陰惨な記憶。
それを受精卵段階から長期にわたり、年々も人格に刷り込ませることで、精神を左右していこうというロクでもないものです。ラクスとミーアが受けていた教育はもちろんそれぞれ違います。
現実に引き戻されるのは、歩行訓練や(この時はほとんど意識もなく、夢の中で歩く動作をとっていて、
現実でもそうしているだけ)、読み書き訓練、ラクスがシーゲル夫婦と対面する時のみです。

二人は普段夢の中で別々の人生を送っています。
二人が会話しているのは、まだ臍の緒が繋がっている(人工子宮で)状態ならではの無意識下でのことです。ちゃんと心のどこかでは人にも左右されずに、自分たちを確立していました。

8歳まで、となっているのはラクスのみがシーゲル夫妻に救い出されたからです。
(シーゲル夫妻は政府機関の人間として既にかなりの高位にいたので、極秘に進められていた研究の
視察に足を運んで、という経緯で初めてやってきたのです)

また最後の会話にも匂わせておりますように、ラクスのみです。
シーゲル夫妻はラクスのみの存在しか知らされていません。
そうする必要性があると判断されたので、感動の救出劇は思惑の中でお膳立てされて実現しました。
ラクスは幸福な人生の続きを8歳からも何の支障なく送っていましたが、
そこまで操作できるほど都合よくいくはずもなく、幼少の記憶の破片がラクスには残されています。
研究では泣き崩れたりするラクスは想定されていませんし、彼らにいわせればコンピューターのバグです。
けれどラクスは、人間味を持った人間として今に至りました。

一方ミーアですが、その後ラクスと同じように軌道に乗った人生を歩んでいました。
あとは話が長くなりそうですし、あまりこの連載にも関係ないので控えておきます。







もし続いたなら、なんてこんな妄想もしていました。






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ミーアはスーツヘルメットを手にすると、長い桃色の髪を一房掴み顔を顰めた。
あまりにも長い髪がパイロットに毛嫌いされる理由は戦闘中円滑な操縦を阻害することを懸念するあまりとされる。
面倒臭そうに青い瞳を細めると、纏うスーツに装着されていた小型ナイフを
手掴むと肩辺りで何の躊躇もなく艶のある髪に滑らせた。
ばさばさと硬質な床に切り捨てられる髪は次第に山となり、最後にナイフが乾いた音を立てて
床に放り投げた。横滑りしていく鋼は鈍い光を反射している。
「さあ、始めましょう。…死の踊りを」
数分前とは別人のように短くなった髪を掻きあげ、薄く笑う様は鋭利な刃物を思わせる。





・・・・

なんてね!


もう一人のラクスは実はMSに乗れて、ラクスも本当は乗れるけれど『平和』を大前提として教育された彼女は絶対に乗ることはない。(むしろ乗ってもらっては役割上困る)
もう一人のラクスは運命の歯車そのままに強大な力を対局するどちらかへ加担するかも自由なんだ、なんて色んな局面を妄想していました。

まだまだ穴が補足してきれていないとは思いますが、これ以上現時点で思い出せませんので、
何かありましたら、一言私までその旨をお伝えくださいませ。


冒頭にあったひらがなの話ですが、 こちらで全話分を一気に掲載しておりますので、お暇な方はどうぞ。
途中、グロテスクな場面もありましたがこの連載自体も裏はかなりドロドロなので、
一応予告のつもりでした。(多分伝わってない…)

書いている私もかなり気分悪くなってきましたが、皆さん大丈夫でしたでしょうか。
反応が恐いです。ビクビクしています。ですが、思いついたのがこんな話でしたので…!
(注意書きでも設けたほうが良かったでしょうか)

それではこのあたりでアトガキを締めくくりたいと思います。
数ヶ月間辛抱強くお付き合いくださり、ありがとうございました!




いろは寅。 (05.01.15)



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この話に関しましては、批判のみはご遠慮を…!(どうしてもこの話に関しては無理そうです)








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