「幸せってなんだろう」




「幸せってなんだろうな」
「・・・お腹でも空いてんの?」
ウィンリィは半眼で窓際に頬杖付いて空を見上げているエドの傍に寄った。手身近な椅子を引き寄せて腰をすえる。

「お前ムードねーなー」
「アンタにだけは言われたくない台詞ね」
金髪をほどき、ばらけた長髪を手際よく結いなおしていくエドを見つめ、ウィンリィはそっと笑って、束ねたエドの手のひらから零れた一房
をつまんで仲間の元へと返してやる。

「アンタはそれを掴み取る為に探しモノしてんじゃないの?」
エドはしばし目を瞠り、瞳にいたずらっぽいからかいの色を浮かべる。
「・・へー。意外にロマンチストですなウィンリィさん」
「な、なによ!違うわけ!?」
「いや。・・・案外そうかもしんねえ」

幸せは自分で掴み取ってこそ初めて幸せの価値が生まれる。
随分自分には似合いの名言だなと思いながら、エドは再び空を見上げる。窓にはウィンリィと自分が肩を並べて映っていた。
上機嫌ににこにこするウィンリィ。
幸せはぶち壊すことからも始まるんじゃないかと物騒にも考えてしまう。





fin.