「どうせ」



サファイアみたいにキラキラと輝く瞳、とはエドは比喩えない。
幼馴染に対する表現としては単に気色悪いとしか思えなかったし、
たとえキレイだなとか可愛いなとか感じようが思おうが、絶対に気の迷い、だとか
些か失礼な考えで一蹴してしまうからだ。

「ちょっとー、何さっきからむくれてんのよ」
「べっつに」
根元から故障した、もとい破壊された機械鎧の腕をウィンリィは忌々しげに見つめると、
奮い立たせるようにふるふると頭を振って工具を手に修理を始める。
片腕しかないエドは暇そうにくわあと欠伸をかまし、ウィンリィの鋭い一睨みに身振りで今一度謝罪し、失笑して肩を竦めた。
が、しかしまたはたと息を吹き返す不快感に眉をひそめ、
元々悪い目つきが更に鋭度を増す金目の少年は、憮然と腕を組んでそっぽを向いた。

「良かったじゃねーか。物好きな嫁の貰い手が現れて」
「はははー。あんなの冗談に決まってんじゃないの」
じゃあ、冗談じゃなかったら?
エドは何を馬鹿なオレには関係ないと、やせ我慢にふるふると頭を振り、短い金の三つ網を揺らす。

キラキラと窓から差し込む太陽に輝くウィンリィの瞳は、
サファイアみたいだなとはいかなくとも海みたいだなとは譲歩して比喩えてやろうと、
らしくもなくなんとなく考え、恥ずかしいこと言ってんなよオレと誤魔化してまた一人吐き捨てる。






fin.




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最新号ガンガンネタ。
あれってヤキモチだよね?ね!オレの嫁さんだってことだよね?!
かなり「うおー!」と悶えたんですが私は。